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Channel: AKB48 チームBのファンより
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欅坂46アルバム『真っ白なものは汚したくなる』を聴く。(ときめき研究家)

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デビューして1年余りで、もう欅坂46のアルバムが出た。しかも新曲がなんと16曲。何ともすごい力の入りようだ。
1ヵ月近く、その新曲16曲ばかり聴いていたが、何だか難解な曲が多く、感想を書けずにいた。そんな中で、最も印象に残った曲は、やはり『月曜の朝、スカートを切られた』である。

『月曜の朝、スカートを切られた』。
この曲についてはネット上で賛否両論が繰り広げられていた。私も少しだけ目を通したが、どの意見にも一理あると思った。
スカートを切るという性犯罪行為を軽く描きすぎ、性犯罪被害者の気持ちへの配慮がない、「悲鳴など上げない」とは結局泣き寝入りか、等々、この曲の歌詞を不快に感じる人々が相当数いたことは事実だ。
一方、スカートを切られた出来事は『サイレント・マジョリティー』に続く自我の確立のきっかけとして不可欠、「悲鳴など上げない」は泣き寝入りではなく理不尽な犯罪に屈しない決意だ、何を描こうと表現は自由、等々の反論も成り立っていると思う。
どんな聴き方も自由だ。しかしこの曲を聴く時には、この曲で不快になる人もいるのだということを心に留めつつ聴くことを肝に銘じたい。
「あんたは私の何を知る?」と平手友梨奈(?)が珍しく感情を露わに歌うのは、そんな議論を知ってか知らずか、簡単に1つの解釈などできない複雑な楽曲なのだと主張しているかのようだ。
曲調は陰鬱。スカッとしない。同じ世界観でも『サイレント・マジョリティー』や『不協和音』のサビでは味わえるカタルシスもない。でもなぜか気になる、記憶に残るメロディーだ。

もう1曲、同じような世界観の楽曲がある。
『永遠の白線』。
曲調は『月曜の朝、スカートを切られた』とは対照的で、明るく伸びやかな感じ。しかし、歌詞は同じような鬱屈とした日常と、そこに辛うじて見出そうとしている仄かな希望を歌っていて、よく似ている。
教室の片隅で「風は入らない」「強い風が吹く訳ではない」「ため息しか出ない」と、否定形ばかりの歌詞が続き、ネガティブな感情が歌われる。2番では、そのシニカルな目は野球部の補欠にまで向けられ「頑張ったと言い訳ができればいいのか?」と辛辣だ。
白線とは石灰でグランドに引く白線だ。野球部のファールラインをイメージする。引かれた白線に沿って歩いて行っても未来はあるのか確信が持てなくても、白線の上を歩いて行こうという決意を歌っている。

アルバムタイトルの「真っ白なもの」とは、制服の白線でもあり、グランドに引かれた白線でもあるのだ。

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