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Channel: AKB48 チームBのファンより
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NMB48『僕らのユリイカ』とカップリング曲たち。(ときめき研究家)

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SKE48『美しい稲妻』はカップリング合わせて8曲だったが、NMB48『僕らのユリイカ』は6曲だ。いずれにせよ多すぎる。その制作にかかる労力を公演曲に回せないものか。

『僕らのユリイカ』。
タイトルありきの曲。
幼なじみにはじめて恋愛感情を抱く、その唐突に気付く感じを「ユリイカ」という言葉で表現している。テーマは柏木由紀『ショートケーキ』と同じだが、「ユリイカ」という珍しくて少し知的な言葉を使っていることがこの曲の眼目だろう。
「愛を囁くには波音が必要」「愛の告白には砂浜が最適」の部分は、アイドルポップの歌詞のステレオタイプをわざわざ示していて面白い。熟語の体言止めがミスマッチな感じで新鮮だ。
昔から「ユリイカ」という雑誌があることは知っていたが、手に取ったことはなかった。どうも美術雑誌のようだ。NMB48ファンがどんなものか購入して、売り上げが増えたなどということはないだろう。

『さや姉』。
この曲は苦手だ。楽屋落ちそのもので、普遍性は全くない。
秋元康が「歌詞はメンバーの観察日記」と言うくらいだから、この歌詞のように、山本彩は後輩の面倒見がよく、敬愛される先輩なのだろう。しかし、それをそのまま売り物として歌っても、所詮仲間内での褒め合い。部外者にはその半分も伝わらない。ここまでベタ褒めされると、山本自身もこそばゆく思っているのではないか。
「おしり叩いて」という歌詞は、去年も聴いた。『1830m』収録の『行ってらっしゃい』だ。耳に残る印象的なフレーズを、自作で繰り返し使用するのは悪いことではないが、粋ではない。語彙が乏しいのかと疑ってしまう。

『届かなそうで届くもの』。
この曲も、タイトルありきだ。
厳しい部活動に明け暮れる日々。休みもなく、先輩は怖いし、恋愛する暇もない。でももう少し頑張れば、「秘密の木の甘酸っぱい果実」が手に入る、という応援歌。色んな部活動で頑張っている中高生、仕事に疲れたサラリーマン、誰にも当てはまるメッセージ。もちろんNMB48メンバーの境遇に当てはめて解釈することもできる。怖い先輩とは誰だろうか。まさか「さや姉」?(褒めて、落とす)

『奥歯』。
フォーク調のバラード。好きな娘に告白したが「友達でいて」と言われて落ち込む男の子の歌。印象が薄い曲。

『野蛮なソフトクリーム』。
この曲もタイトルありき。
試験中なので、ショッピングモールでの短時間のデート。モヤモヤを晴らすように、ソフトクリームを乱暴に舐める。でも、短時間でも会うというのは、バランス感覚のある選択だ。試験前だからデートはお預けという『合格キッス』、受験前の夏休みだから会えないという『直角Sunshine』はもっとストイックだ。しかし2人で決めたことはどれも正しい。高校生の日常が微かに思い出せるような錯覚をさせてくれる佳曲だ。
この2人が会っている「ショッピングモール」は『バンザイVenus』でトイレットペーパーを買っていた所に違いないし、行きたかった「遠くの遊園地」は初めてのデートで行った『大人、ジェリービーンズ』の舞台なのではないか。「パーキングエリアにしゃがみこんで この先の夢とかをいっぱいしゃべったよね」は、同じ渡辺麻友の『三つ編みの君へ』で「切り株のベンチ」で同じことをしていた2人を思い出す。都会と田舎の違いはあれど、若者の行動は似ている。

『ひな壇では僕の魅力は生きないんだ』。
この曲もタイトルありき。
好きな子の誕生パーティーで、多くの男の子達の中で自己主張できない気弱な「僕」を、目立たないひな芸人に例えて歌う。NMBメンバーたちも同じような仕事をしているだろう。メンバーの中で、少しでも自分をPRしようとするのに必死になる。それを揶揄しているような、自虐的な曲だ。
人を押しのけて前に出られない『走れペンギン』と似た主旨。いつかひな壇芸人ではなく、メインのゲストとして呼ばれたいと虫のいいことを歌っているが、努力なくしてそんな日は来ないだろう。
わかる人だけわかってくれればいいが、芳本美代子のアルバム曲『PINK』は、壁の花だったパーティーを抜け出し、次回に備え「ダンスの特訓」を決意する歌。その方が前向きだ。


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