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「デフレだから新しい文化が創造される説」アイドルを見ていると納得できます。(ナッキー)

「デフレだから新しい文化が創造される説」アイドルを見ていると納得できます。(ナッキー)

目次を見たら「AKBはデフレの申し子」と出ていたので、読んだ本を紹介します。
書名:デフレ救国論 本当は怖ろしいアメノミクスの正体
著者:増田悦佐
出版:徳間書店(新書)

以下引用(要約)
「芸術とまで持ち上げるにはちょっとどうか」とおっしゃる方も多いでしょうが、現在人気絶頂期にあるメンバーっちも、秋葉原のAKB劇場から出てきている劇場出身組、いわばデフレの申し子なのです。
これまでのいわゆるアイドルに比べて、AKB48は「生」の露出度が高いと思います。
最終的にはCDを買わされてしまうのだけど、生でサービスしないと、ファンはCDを買ってくれません。
いい曲もあるけど、大半は時間つなぎのための凡庸な曲ばかりみたいたCDを、セット販売で何千円と出させて買わせるという商売は、もう劇場での生の露出なしには通用しなくなってきたのです。

感想:
AKB48をはじめアイドルの曲が凡庸だとは思わないけど、握手会・選抜総選挙・物販(握手か、サインか、チェキ)という付加価値なしに、CDが売れないのは正しい認識。
テレビで活躍できるAKB48が、握手会のような労働生産性の低いイベントを続けているのは、テレビでの人気は短期的なものと割り切って、人気がなくなっても握手会で生き残っていこうという戦略なのだろう。
アイドルに詳しくない経済学者には、CDを「買わされている」と見えるようだが、
曲を鑑賞するために、CDを買っている、ときめき研究家さんのような方が少数
CDについてくる権利を買うファンが多数、
決して、買わされているわけではない。

本の引用を続けます。
それ(演劇がはやっていること)が広く受け入れられるのも、デフレの恩恵。
インフレ時代にはとうてい実験的なことには使えないような使用料をとっていた劇場でも、閑散期には安く貸してくれる。
企業ならば新製品を生み出す研究が割安になってきた状態に当たる。

感想:筆者は有名な演劇について論じているが、私が見ている若い女性中心の無名な演劇に、あてはまる。上演するだけでなく、稽古場、スタッフ、女優のギャラ、安くないとできないのだろう。切符代は4000円代、5000円代。終演後の物販の公演もある。
劇場公演ではないが、ローカルアイドルが輩出するのも、
レコーディングが安くできる
才能のある者に、作詞作曲のをローカルで安く発注できる(あるいは、主催者自身が作る)
レッスン場が安く借りることがでできる
歌とダンスを披露する場がある
からで、デフレのおかげと言えないことはない。

本の引用を続けます。
AKBのような集団性は、世界的に見てもポップアーティストの業界に大きなインパクトを与えつつある。
あれだけ大勢になると、違う力学が働く。
AKBのような存在と、日本独自の発展を遂げた文化(アニメ・漫画)がクロスオーバーしたときに、何か新しいものが生れるのではないか。
そのカギは、ピン、つまりひとり立ちの芸を見せることではなく、せいぜい7から8人までの伝統的なグループでもなく、観客にアイドルの方がまるで自分たちの引率で行動している生徒のように思わせてしまう親近感ある大勢の集団性ということでしょう。

感想;筆者は経済の専門家であるが、芸能の専門家ではないので、このあたりは思いつきのようだ。
AKB48が、新しい文化の創造であったという認識には、同意。


本の引用を続けます。
イギリス・ビクトリア朝後期には、ミュージックホール演芸が全盛を迎えた。
それ以前のパフォーミング・アーツとは貴族がパトロンとして育てた音楽家を、優雅にサロンで楽しむものだった。
デフレ時代(1873年から1895年)には、物価が下がり実質所得が上がったので、大衆がエンターテイメントを求めた。オペラッタがの名作はこの時期に初演されている。
アメリカでブロードウェイのミュージカル、ハリウッド映画の黄金期は、1930年代。

本の引用を続けます。( )はナッキー補足。
インフレ期とは、もうすでに名の通った人たちが巨大な収益を得るのには適しているが、新しい芸術を生み出す環境ではありません。
デフレ期とは、同じことを続けていると、少しずつジリ貧になるので、なんらかの新しい工夫をした人が成功する。
インフレ期は、早めに借金をして、規模を拡大すれば勝なので、あまり想像性を必要としない。与信能力の高い大手プロクションが、スターをリリースして(少数独占が)通用する。
デフレ期は、制作費・宣伝費の拡大(浪費)競争をやってもジリ貧で、新しい内容で勝負しなくてはならない。

感想;
アイドルが3ヶ月ごとにシングルをリリースした70年代、80年代も充分に創造的であったと思うけど、
現代のローカル・地下・マイナーアイドルたちの創造性の方が、バラエティに富んでいて、面白い。

ナッキー

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