Quantcast
Channel: AKB48 チームBのファンより
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2446

第5回総選挙雑感(読者からの投稿その3)

$
0
0
第5回総選挙雑感(読者からの投稿その3)

第5回総選挙雑感(読者からの投稿その1)
第5回総選挙雑感(読者からの投稿その2)

もう一つ、特筆すべきなのは、既に多くの方が指摘していることだが、AKBグループのローカル化、支店の躍進の波である。

支店の躍進は、既に昨年第四回のSKEの大量ノミネートで始まっていたが、当時、それは、単に本店の地盤沈下と表裏一体なのではないか、そうとしか思えなかった。

しかし、今年の指原の1位は、昨年までの、指原個人の人気というよりは、HKTに移籍し、若いヘタレた妹たちを背負った、リーダー指原の評価でもあり、HKT全体への期待の表れでもある。
彼女の躍進をわがこととして心から喜び、後に続こうとする宮脇咲良や児玉遥を始めとするHKTメンバー全員に、無条件に祝福され、背中を押されての堂々の1位である。
そして、あの場外で大声を張り上げ続けていた大分のサポーターたちに支えられての、まさに九州のエースとしての勝利である。

これは、他のAKBメンバーにはない強みだったといえる。
今や、指原はAKBオタのヒロインであることを超えて、地域のヒーロー、九州のエースとなったのだ。
「地方組」と自虐的に語り、「大分」「大分」と自分が田舎者であることをむしろ全面に打ち出してきた指原の郷土愛が、スキャンダルからの復活を期する指原には、極めてポジティブに機能した。

AKBグループの方向性として、支店の活性化、グループ間の切磋琢磨を企図し、その一環として指原を博多に送り込んだ運営とすれば、これは、最高の展開だったともいえる。

指原が、去年よりもはるかにシャンとして、堂々と輝いていたのは、何と言ってもHKTを率いてきたリーダーとしての自覚、風格によるものであり、「地位は人を作る」をこれほど端的に示した例も珍しい。

自分の喜び以上に、最高の笑顔で「HKTも応援してくれるかなー?」と叫び、満座に「いいとも!」と言わせたシーンは、まさに総選挙の大変質と、AKBグループにおける地殻変動を象徴していた。

6位の松井珠理奈も、自らのことと併せてSKEの躍進を喜び、応援を求めた。
選抜入りを果たした笑顔の山本彩も、NMBを引っ張る意思を高らかに宣言した。
そして、自らの退路を断って、SHN専任を選んだ宮澤佐江の、凛々しすぎるスピーチも、AKBグループ「地方の時代」「ローカルパワー」「グローバルパワー」を確信させるできごとだった。

本店に負けるな、追いつき追い越せ、という支店メンバーのエネルギー、パワー、それを「おらが町」のアイドルとして熱狂的に応援する地元のファンたち。
彼らは、東京一極集中が続いたアイドル文化、サブカルチャーを変える起爆剤になるだろうし、それはひいては地方の活性化にもつながろう。



さらに、私が感銘を受けたのは、昨年ほどの切迫感、悲壮感はなかったとはいえ、今年も総選挙を彩ったいくつものすばらしいスピーチだった。
感極まり、考えがまとまらず、いたずらに冗長だったが、表情は抜群に美しかった須田亜香里。
「21歳だから次世代ではないけれど、だったら、今を引っ張ればいいじゃん。」という訴えは実に清々しかった。

「誤解されやすいが自分は強い人間じゃない」「5回出たが、やはり総選挙は嫌い」と今年も本音を吐き出した板野友美。
「私だって順位は気にします。来年は速報前にも少しは投票してください」とすねてみせる小島陽菜はやはり自分の可愛らしさを十二分に知っている。

「ファンのみなさんにいつも魔法をかけてもらっている」と、凛と語りかけた松井玲奈。
自分でも決して容姿、素質に恵まれたわけでないことを自覚しながら、だからこそ、ファンのみんなに支えられて自分が変身できることを、彼女らしい素敵なフレーズで表現して見せた。

絶対的なSKEのリーダーとして、また、11歳でAKBのセンターに抜擢され、ずっと全力疾走でやってきた松井珠理奈は、次第に年齢を重ねて、逆に怖さを知るようになったのか、珍しく見せた号泣が、彼女の肩にかかってきた重圧をあらわしていた。
しかし、彼女は、いつ、いかなる時も、誰の前にいてもリーダーである。
100人が100人彼女を応援するとは言わないだろう。
半分は彼女を支持し、半分は彼女を嫌悪するかもしれない。
しかし、嫌われることを恐れない、そんな不動のリーダー、エースになれるだけの覚悟と信念を持った数少ない逸材である。
いよいよガツガツと上を目指してほしい。

篠田麻里子は、終始、去年よりはるかに優しく穏やかな表情だった。
とても最年長とは思わせない若々しく美しい笑顔だった。

敢えて厳しいことをいい、後輩を煽った昨年とは対照的に、「後輩たちが頑張っている姿を見て感動した。つぶすつもりで来い、といったけど、後輩に道を譲るのもありかな、と思えた。」と実にやさしく穏やかに卒業を宣言した彼女は、まさに菩薩のような神々しさをたたえ、珠理奈を始めとする若い後輩たちの涙を誘ったに違いない。

柏木由紀の、「おばあちゃんになった頃、柏木由紀ってすごいアイドルがいたんだよ」って孫に語ってもらえるようになりたい。という言葉も、永遠のアイドルを目指す彼女らしい、魂のこもったメッセージだった。

3位に敗れた悔しさにも動じず、「私ほどこの1年間、AKBにすべてをささげてきた人はいない。来年は最後の一人になれるよう頑張る」と淡々としかし力強く語った渡辺麻友からは、いまどき珍しい、アイドルのプロとしての矜持と誇りが感じられ、目頭が熱くなった。

終わってみれば、次世代は3位の渡辺、6位の珠理奈、そして12位の島崎遥香と、まだウェイティングサークル手前といった位置取りではあるが、彼女たちの顔つきは確実にたくましくなっている。
順位はどうあろうと、事実上AKBを引っ張っていこうという強い意思と決意を感じる。

さあ、次回のDocumentary of AKB48はこの指原劇場をどう描くのだろう。

そして、次回シングルで、秋元康は指原センターのAKBのためにどんな曲をぶつけてくるのだろう。
大島優子のスピーチにインスパイアされて、思い切りコミカルな曲で来るかもしれない。

秋元康は、すべてを計算ずくで緻密にプランニングしていく、トップダウン型のプロデューサーではない。
きっかけは自分が起こすが、そのムーブメントが、大衆にどう受け止められ、本人たちがどう変わり、そしてそこからどんな新たな動きが派生していくかを、息をひそめて見守り、風向きを巧みに読み、そしてその流れに思い切り乗ってしまうことで、次々とヒットをつなげてきたタイプである。

経営学で言えば、「創発型」のイノベーターでありクリエーターである。
風の読み方と乗り方が絶妙なのだ。

指原を切らずに博多に派遣した策は見事に当たった。
今度は、その指原が1位になってしまったシングルで、どれだけ「お祭り」騒ぎを楽しみ、新たなAKBファンを取り込み、それをさらなる世代交代と、支店活性化につなげるか、早速頭をひねっていることだろう。

個人的にずっと好きにはなれなかったが、今回ばかりは、なぜか、平和の使者である指原におめでとう、そしてありがとう、と言いたい気持ちになった。

以上


この読者からは昨年シリーズで投稿いただいていたので、リンクをはります。
古川愛李推し読者からの投稿その1 選抜総選挙は面白い

古川愛李推し読者からの投稿その2 アイドル歌手が一種のアスリート化

古川愛李推し読者からの投稿その3 パーソナリティが垣間見える総選挙インタビュー

古川愛李推し読者からの投稿その4 選抜総選挙はイノベーションのジレンマに陥っており、衰退の危険をはらむ

古川愛李推し読者からの投稿その5 乃木坂46にはAKB48から失われた魅力があるのは選抜総選挙がないから

古川愛李推し読者からの投稿その6 ジャニー社長の独裁が男性アイドル制覇の原点

古川愛李推し読者からの投稿その7 平嶋夏海についてお答えします。アイドルは自然現象(ナッキー)

古川愛李推し読者からの投稿その8 職人としての秋元康

古川愛李推し読者からの投稿その9 作詞家としての秋元康

古川愛李推し読者からの投稿その10 英語の歌詞には違和感

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2446

Trending Articles